諏訪内晶子
Akiko Suwanai
      
2000年ブダベスト祝祭管弦楽団 2000年5月28日(日)ブダペスト祝祭管弦楽団
◆指揮 イヴァン・フィッシャー
◆場所 ザ・シンフォニーホール
◆プログラム
F.リスト/ハンガリー狂詩曲第2番
B.バルトーク/ヴァイオリン協奏曲第1番(遺作)
P.サラサーテ/ツィゴイネルワイゼンOp.20
B.バルトーク/管弦楽のための協奏曲

最近は軽くて音量があまりなく、少し抜けた感じの音色で演奏する諏訪内さん。バルトークの協奏曲第1番はそんな彼女にぴったりだと感じました。最愛の女性への思いがこの曲には込められているのですが、作曲者の思いがよくあらわれた演奏だったと思います。チゴイネルワイゼンの演奏中、弦が切れてすぐにコンサートマスターの人とヴァイオリンを交換して続きを演奏しました。ヴァイオリンが変わったためか少し焦り気味の演奏になりました。それだけテンションが高かったのでしょうけど。終わった瞬間は拍手喝采状態で、「ブラヴォー!」と叫ぶ人まで出る始末でした。この曲については彼女の音色に合っていない気がします。一所懸命弾いている割には情熱が足りない気がしました。オケについて言えば後半が特に力演だと感じました。

2000年リサイタル 2000年6月6日(火)ヴァイオリンリサイタル
◆ピアノ 児玉 桃
◆チェロ フランソワ・サルク
◆場所 野洲文化センター
◆プログラム
J.F.ヘンデル/パッサカリア
S.S.プロコフィエフ/ヴァイオリン・ソナタ第1番ヘ短調Op.80
S.S.プロコフィエフ/ヴァイオリンとピアノの為の5つのメロディ
             Op35bis
M.ラヴェル/ピアノ三重奏曲イ短調

前半は何だか空振りしているように思えました。特にプロコフィエフのソナタ第1番ですが、ピアノの音量が少し勝ってるように思えました。時折目立つ弦がこすれる雑音も耳につきました。私はこの曲はオイストラフの演奏がお気に入りなので、諏訪内さんの演奏はかなり軽い印象を受けました。後半は何故か音のバランスが良くなっていました。諏訪内さんのヴァイオリンも自然に鳴っているように感じました。結局一番印象に残ったのは最後に演奏したラベルのピアノトリオでした。3人の息がぴったりで音のバランスも良かったと思います。アンコールのブラームスのピアノトリオが終わっても観客が帰らないので、ラヴェルのピアノトリオの第3楽章を演奏してましたが、 これはホールの人の手際がよくなかったのではないでしょうか。あの状況では席を立てませんよ。アンコールが長く感じられて正直疲れてしまいました。

2000年リサイタル 2000年6月13日(火)ヴァイオリンリサイタル
◆ピアノ 金子陽子
◆場所 文化パルク城陽プラムホール
◆プログラム
武満 徹/悲歌
C.A.ドビュッシー/ヴァイオリンとピアノのためのソナタ
A.シュニトケ/ヴァイオリン・ソナタ第1番(1963)
L.ヤナーチェク/ヴァイオリン・ソナタ
F.クライスラー/愛の喜び
F.クライスラー/愛の悲しみ
F.クライスラー/美しきロスマリン

ひどい雨の中、不便なホールでのリサイタルでした。着ていたドレスに跳ねがあがって散々でした。その上入口がわかりにくく迷ったので1曲目に間に合いませんでした。ドビュッシーのソナタが始まってすぐに鈍い音がして弦が切れました。雨で湿気が強かったし、もしかしてガット弦を使用していたのでは?と思います。弦を張替えて再度演奏が始まりましたが、気持ちが焦っているのが伝わってくる演奏で少しハラハラしながら聴いていました。その後張替えた弦の音が安定していないためか不安定な部分が結構目立ちました。後半は少しマシな状態になっていましたが。。。この演奏会今までの中では一番不調だったように思えました。

2000年ベルリン芸術週間 2000年9月13日(水)ベルリン芸術週間
◆指揮 シャルル・デュトワ
◆ヴァイオリン 諏訪内晶子(*1)
◆合唱 ベルリン・エルンスト・センフ合唱団(*2)
◆合唱指導 シグルド・ブラウンス
◆管弦楽 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
◆場所 ベルリン・フィルハーモニー
◆プログラム
M.ラヴェル/道化師の朝の歌(1918)
M.ラヴェル/ツィガーヌ(1924)
        <ヴァイオリンとオーケストラのための狂詩曲>(*1)
M.ラヴェル/マ・メール・ロア(1912)
M.ラヴェル/ダフニスとクロエ(1912)
        <3部形式からなるバレエ曲>(*2)

ドイツ旅行に行ったついでにベルリン芸術週間の演奏を聴きに行って来ました。オールラヴェルプログラムでした。フィルハーモニーは舞台がそう広いわけではなく、指揮者とソリストは舞台前にある通路を通って登場します。録音用?マイクが出演者の頭上いたるところにぶら下がっていて驚きました。2・4曲目は知っていますが、1・3曲目は知らないで聴いたので内容はよくわかりませんでしたが、1曲目の「道化師の朝の歌」は原曲はピアノ曲集<鏡/Miroirs>の中の1曲 で管弦楽用に編曲されたものです。まず何より感動したのはベルリン・フィルの音色でした。これまでCDでしか聴いたことがありませんでしたが、生で 聴くとその上手さは言葉で言い表しようがありませんでした。 しかもフィルハーモニーの音響が素晴らしい。残念なのは携帯を鳴らした人がいたんです。いずこも同じなんですねえ。2曲目は「ツィガーヌ」。諏訪内さん登場です。 場内は鎮まりかえっていて緊張感漂う中で演奏は始まりました。弾き方は非常に丁寧で日本人らしいなあと思いました。欲を言えばもう少し奔放さがあっても良いかも。。。彼女はヴァイオリンを変えたらしく、(プログラムには1714年製A.ストラディヴァリウス<ドルフィン>を日本音楽財団から貸与されていると書いてあります。)音色に関してはかなり変わったという印象を受けました。今までは抜けた音がするなぁと感じたのが、この日は芯のある音に感じました。演奏が終ったら「ブラヴォー!」と叫ぶ人もいましたが、2回コールで終了。 割にあっさりという感じです。このとき驚いたのはフラッシュをたく人が山のようにいたことです。3曲目の「マ・メール・ロア」は英語名「マザー・グース」。原曲はピアノ連弾曲でやはり管弦楽用に編曲したものです。ラヴェルらしいちょっと不協和音っぽい曲でした。休憩をはさんで、4曲目は「ダフニスとクロエ」合唱付きのバレエ音楽です。この曲は組曲の方が聴く機会が多いような気がします。私も原曲を聴いたのは初めてでした。合唱の出だしが指揮と少しずれた場面がありましたが音程、表現等は申し分なかったと思います。曲が終った瞬間は「ブラヴォー!」と叫ぶ人がいたり、口笛を吹く人がいたりで大騒ぎでした。余談ですが、私は座る席を勘違いして座っていたんです。正しくは8列目の5番だったのが5列目の8番に座ってしまって、休憩中その席の人に「間違ってるよ。」と言われてしまいました。チケットをきちんと見ていなかったのです。 (^_^;)

2000年大阪フィル第343回定演 2000年11月7日(火)大阪フィルハーモニー交響楽団第343回
             定期演奏会
◆指揮 パーヴォ・ヤルヴィ
◆場所 フェスティバルホール
◆プログラム
D.D.ショスタコーヴィチ/ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調Op.77
A.ブルックナー/交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」
           (ノヴァーク版)

ベルリンで受けた印象に間違いはありませんでした。私は2階にいましたが曲が始まった瞬間、つやのある音色がして「私好みの音色だ」と思いました。テンションが高い始まり方をして「おっ」と思った瞬間、弦が切れました。これで3回目ですね。(弦が切れる場面には4回遭遇しましたが、そのうち3回は諏訪内さんでした。)ガット弦をお使いなのでしょうか?(今年は気候がかなりおかしかったしこの日は11月だというのに暖かすぎましたからヴァイオリンには酷だったのでしょうね。)退場して弦を変えて戻ってきて再び演奏が始まりました。最初は音ののりが少し弱めになってしまった気がしましたが、中盤から良くなったように感じました。贅沢を言えばこの曲独特の不安げな感じが欲しかったですが、確実に表現力が増していっているように感じました。(^○^)オケにはもう少し頑張って欲しかったですね。金管は言うまでもなく全体的にやや力不足に思えました。嬉しいことにこの日はサインをいただくことが出来ました。フェスティバルホールか大フィルのマネージャーだと思いますが、 サインをいただこうと楽屋口で待っているのに追い払うような言い方はやめていただきたいです。この日の諏訪内さんは本当に快くサインをして下さいました。

2001年大阪フィルニューイヤーコンサート 2001年1月28日(日)大阪フィルハーモニー交響楽団ニューイヤー
             コンサート
◆指揮 円光寺雅彦
◆場所 守山市民ホール大ホール
◆プログラム
L.V.ベートヴェン/交響曲第1番ハ長調Op.21
武満徹/遠い呼び声の彼方へ!
M.ラヴェル/ボレロ

1曲目のベートーヴェンの交響曲第1番は可もなく不可もなくといった出来でした。終わった瞬間に「ブラヴォー!」と叫ぶ人がいて少し興ざめがしました。休憩をはさんで2曲目に諏訪内さんが登場しました。武満の曲は少しベルクにも似たどことなく悲しげな曲です。現代曲は普通聴きにくいものですが、そうでもないように思えました。諏訪内さんの演奏は実にクールでした。ヴァイオリンを「ドルフィン」に変えてからの彼女の音色は好きなので違和感はありませんでした。3曲目のボレロは管楽器のミスが目立ち残念な演奏でした。それでも「ブラヴォー!」と叫ぶ人がいました。終演後、バスに乗ろうとバス停にいたところ諏訪内さんが車を待っているのに遭遇しました。サインをいただきたいと言ったところ快くしてくださいました。私が差し出したベルリンのパンフレットを見て、「来て下さったんですか?」と言っておられました。弦は何をお使いなのか訊ねましたが、「A線はいろいろ使ってるんです。」とのことでした。次回の大阪でのコンサートは2002年のリサイタルの時になるそうですよ。