五嶋 龍
Ryu Goto
      
2000年リサイタル 2001年1月1日(月)ヴァイオリンリサイタル
◆ピアノ タチアナ・ゴンチャローヴァ
◆場所 カザルスホール
◆プログラム
L.V.ベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタ第1番ニ長調Op.12-1
E.H.グリーグ/ヴァイオリン・ソナタ第3番ハ短調Op.45
H.W.エルンスト/練習曲第6番「夏の名残のバラ」
F.クライスラー/愛の喜び
F.クライスラー/美しきロスマリン
F.クライスラー/ウィーン奇想曲
A.バッジーニ/妖精の踊り(幻想的なスケルツォ)Op.25

あの有名なヴァイオリニストMidoriさんの弟の龍君。数年前にパガニーニの協奏曲第1番を弾いてデビューして話題になりましたが、今回はデビューリサイタルということで楽しみにしていました。まだ12歳であどけない少年です。体格も小柄です。前半はソナタが2曲でした。まだ不完全な点が多いのですが、時折出すハッとするような美しい音には感心させられました。途中音がわからなくなる場面があっても全く物怖じもしません。後半は龍君が選んだ曲だったのか前半とは違い、音ののりもすっきりしていました。特にエルンストの「夏の名残のバラ」が素晴らしかったと思います。クライスラーはもっと弾き込んでいけば良くなっていくことでしょう。バッジーニは途中音を忘れてしまった部分があったのと、技術的にもやや不完全さを残している感じでした。プログラムによれば龍君は将来サイエンティストになりたいとのこと。今の段階ではヴァイオリニストになろうとは思っていないのでしょう。演奏会を思いきり楽しんでいる感じがしてそこに好感がもてました。

2001年京都市交響楽団特別公演 2001年9月8日(土)京都市交響楽団特別公演
◆指揮 佐渡 裕
◆場所 アルカイックホール
◆プログラム
L.バーンスタイン/キャンディード「オーケストラ組曲」<日本初演>
A.I.ハチャトゥリアン/ヴァイオリン協奏曲二短調
A.ドヴォルザーク/交響曲第8番ト長調Op.88

龍君の本格的なオケとの協演ということで楽しみにしていました。この日の会場のアルカイックホールで聴くのも初めてでした。いつもはさらりとした演奏の京響も指揮が佐渡さんだったためか結構熱演していました。キャンディードオケ組曲は日本初演だったそうで意外でした。2曲目で龍君の登場でハチャトゥリアンの協奏曲を弾いていましたが、12歳とは思えない素晴らしい演奏でした。2楽章の内容を充実させるのはもう少し年数をかける必要があるでしょうが、テクニックは申し分ないと感じました。おまけに演奏中の態度が12歳にして一人前のソリストなんです。残念だったのが音量がやや足りなかったこと、ヴァイオリンがフルサイズではないので仕方がないのでしょうね。終演後拍手が鳴り止まないので何度も舞台に登場していましたが、相変わらず茶目っ気たっぷりでした。後半のドヴォルザークも良い演奏でした。この曲良い曲だなあと改めて思いました。終演後、サイン会がありましたが、残念ながら龍君にはいただくことができませんでした。まだ子供だからということで周りが配慮したのでしょうか。佐渡さんにはサインをいただくことができました。

2002年フィルハーモニア管弦楽団 2002年10月28日(月)フィルハーモニア管弦楽団
◆指揮 ウラディーミル・アシュケナージ
◆場所 ザ・シンフォニーホール
◆プログラム
P.I.チャイコフスキー/幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミエ」Op.32
P.I.チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.35
P.I.チャイコフスキー/交響曲第6番ロ短調Op.74「悲愴」

龍君があのフィルハーモニアと協演するとのことで聴きに行ってきました。1曲目については曲を知らないのであえてコメントは避けますが、前置きにしては長すぎた感じがしました。(30分はあったと思います。)2曲目でいよいよ龍君の登場です。どんなチャイコフスキーを演奏するのか非常に楽しみでした。テンポはややゆっくりの彼らしい素直な演奏で少しも気取ったところがないところが良かったです。1・3楽章でちょっとひやっとする場面もありましたがそんなことは全く気にもとめずに自由に演奏していました。昨年聴いた時よりも音のすわりが良くなったように感じましたが音量はもう少し欲しいなと感じました。(私の座っていた席のせいかもしれませんが、時々オケの音量に負けてしまっていた場面がありました。)後半の「悲愴」もなかなか良かったのですが、フィルハーモニアの明るめの音色にはちょっと不似合いな感じを受けました。この日はお客さんのマナーが良くて演奏が終った瞬間にいきなり拍手をする人がいなかったのは嬉しかったです。(この曲でいきなり拍手されるとぶち壊しですから。)終演後龍君にサインをいただくことが出来ました。(サイン会の段取り自体は良かったです。)チラシにあるのがそうです。一緒に写真を撮ったのですが、龍君の方が身長が高いです。(^_^;)

2008年オルフェウス室内管弦楽団 2008年6月10日(火)オルフェウス室内管弦楽団
◆場所 ザ・シンフォニーホール
◆プログラム
W.A.モーツァルト/交響曲第35番「ハフナー」
J.タワー/チェンバー・ダンス
(オルフェウス室内管弦楽団委嘱作品)
A.ヴィヴァルディ/協奏曲集「四季」Op8-1〜4

このコンサート、当初のソリストはサラ・チャンだったのですが、都合で出演できなくなったらしくその代わりに龍君が出演することになったのでした。前半はオルフェウス室内管弦楽団のみの演奏でした。このオーケストラは他のオーケストラと違い指揮者がいません。メンバーが入れ替わり曲毎にリーダーなって演奏するスタイルを取っています。1曲目の「ハフナー」は小編成にもかかわらず低音もよく鳴っていましたし、管楽器も上手いですしなかなか良かったです。2曲目の「チェンバー・ダンス」はエネルギッシュな曲だと思いました。(私の好みではありませんが。)後半で龍君が登場しました。1715年製ストラディヴァリ「エクス・ピエール・ローデ」を使用しているとのことでしたが非常に良かったです。音は少し硬いところもありましたが、艶やかな音色で音量もあって本来のヴァイオリンの良さを発揮している演奏でした。4日前にムターの超個性的な「四季」を聴いた直後でしたから人によってこんなにも表現が違うものなのだと実感しました。特に「春」の鳥のさえずりの部分や、冬の「ラルゴ」の歌い方なかなか良かったです。

アンコールは
1.N.パガニーニ/カンタービレニ長調Op.17
2.H.W.エルンスト/練習曲第6番「夏の名残のバラ」
3.P.I.チャイコフスキー/弦楽セレナーデハ長調Op.48より第2楽章
               ワルツ

でした。アンコール1曲目は龍君のソロとオケの伴奏でしたが、歌い方が綺麗で良かったです。ちなみにこの曲は簡単そうに聞えますが楽譜を見れば難しいことがよくわかります。2曲目のエルンストの練習曲ですが、(練習曲とは思えない超技巧的なパガニーニも真っ青の難しい曲です。)「庭の千草変奏曲」と訳されていますが、正しくは「夏の名残のばら」なのだそうです。龍君すごすぎます。とにかく完璧な演奏で圧倒されました。この曲を知らないるお客さんが多かったのだと思いますが曲が終わらないうちに拍手が2回起こりました。(^_^;)曲が終わった瞬間は「ブラヴォー!」の声が飛び交い、スタンディングオベーションも起こりました。3曲目で再びオケのメンバーが登場し、何とそこに龍君も加わってチャイコフスキーの弦楽セレナードの第2楽章が演奏されました。こちらも良かったです。終演後は龍君のサイン会がありました。(^^♪ホールを半周するほどお客さんが並んでいました。

サイン