ヴィクトリア・ムローヴァ
Viktoria Mullova
      
1994年リサイタル 1994年2月11日(金・祝) ヴァイオリンリサイタル
◆ピアノ チャールズ・エイブラモヴィック
◆場所 秋篠音楽堂
◆プログラム
L.V.ベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタ第4番イ短調Op.23
J.S.バッハ/無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第1番ロ短調
        BWV.1002
J.ブラームス/ヴァイオリン・ソナタ第1番ト長調Op.78「雨の歌」
C.A.ドビュッシー/ヴァイオリンとピアノのためのソナタ

1982年チャイコフスキー・コンクール優勝後、西側に亡命したロシア系の美人ヴァイオリニストです。背が高くて大柄でボーイングはシャープです。前半のバッハの無伴奏ソナタがパルティータに変更になりました。私としては後半のドビュッシーのソナタが一番印象に残りました。

1996年リサイタル 1996年11月10日(日) ヴァイオリンリサイタル
◆ピアノ ピョートル・アンデルシェフスキー
◆場所 青山音楽記念館(バロックザール)
◆プログラム
J.ブラームス/ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調Op.100
L.ヤナーチェク/ヴァイオリン・ソナタ
武満徹/妖精の距離
L.V.ベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタ第5番ヘ長調Op.24「春」

プログラムが一部変更になりました。ウェーベルンのヴァイオリンとピアノのための4つの小品Op.7が武満徹の妖精の距離になりました。前回に比べ角が取れた弾き方になっていました。彼女のブラームスは何だか悲しげで粘りもありません。音も細めです。でもそこが彼女の個性なんでしょうね。個人的にはヤナーチェクのソナタが一番印象に残りました。今回はサインをもらいました。それにしてもこの人はいつも僻地でしかコンサートをしない人です。家が遠いので行くのが大変です。ぜひ今度は大阪市内で演奏して欲しいものです。

2000年ベルリン芸術週間 2000年9月16日(土)ベルリン芸術週間
◆指揮 ケント・ナガノ
◆ヴァイオリン ヴィクトリア・ムローヴァ(*1)
◆管弦楽 ベルリン・ドイツ交響楽団
◆場所 ベルリン・フィルハーモニー
◆プログラム
A.ベルク/歌劇「ルル」から交響的小品(1934)
       1.ロンド 2.オスティナート 3.変奏曲 4.アダージョ
A.ベルク/管弦楽のための3つの小品Op.6(1914/15)
       1.前奏曲 2.輪舞 3.行進曲
A.ベルク/パッサカリア(1913)
A.ベルク/ヴァイオリン協奏曲−ある天使の思い出に−(1935)(*1)
       第1楽章 Andante-Allegretto
       第2楽章 Allegro-Adagio

こんなプログラムはたぶん日本では聴けないでしょう。オールベルクプログラムでした。知らない方のために説明しますが、A.ベルクはA.シェーンベルク、A.ウェーベルンと並ぶ12音技法の確立者です。不協和音が炸裂するので初心者には聴きにくいだろうと思います。私もはじめは聴きにくいと思っていた1人でしたが、今ではヴァイオリン協奏曲は最も好きな協奏曲の1曲にあげたいくらい好きです。プログラムの演奏順が変更になってヴァイオリン協奏曲が最後にくることになりました。ケント・ナガノはベルリンで人気者らしく、この日は空席がほとんど見当たらないくらい入りが良かったです。ビデオ撮影していたのはたぶん地元のテレビで放映されるのでしょうね。1曲目から聴かせてくれるなと思いました。不協和音なのですが、コンサートでは音を聴くだけでなく、目でも見ることになるので、使ってる楽器、奏法なんかがよくわかって面白いのです。最後にヴァイオリン協奏曲をもってきたのは正解だったと思います。この曲不協和音の中にバッハのコラールが引用されていたりして、なかなか繊細な曲なのです。本人はアルマ・マーラーの娘の死を偲んで曲を書いたのですが、この曲を書いた後ベルク本人も死んでしまって、本人のレクイエムになってしまったといういわくありげな曲です。ムローヴァのヴァイオリンが第1音からその繊細さをよく出した良い演奏で、感動して聴いていました。ちなみにバッハのコラールの部分は木管でオルガンの音を出すのですが、上手いオケで聴くと本当にオルガンの音のように聞えます。第2楽章の終音が消えるように静かに終ると、しばらくシンと静まり返ってから、拍手が起こりました。「ブラヴォー」の声も飛び交っていました。オケの人が退場してもまだ帰ろうとしないで拍手する人が大勢いたので、再度ケント・ナガノとムローヴァが挨拶に登場しました。

2001年リサイタル 2001年11月23日(金・祝)ヴァイオリンリサイタル
◆鎌倉芸術館大ホール
◆プログラム
J.S.バッハ/無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番ホ長調
        BWV.1006
J.S.バッハ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番イ短調BWV.1003
J.S.バッハ/無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番ニ短調
        BWV.1004

ムローヴァのバッハの無伴奏プログラムということで鎌倉まで出かけていきました。2曲目が無伴奏ソナタ第1番から第2番に変更になりました。登場した彼女が弾き始めた瞬間ハッとしました。弓も楽器も古楽器だったんです。5年くらい前からバッハに対する見方が変わったのだそうです。最近はモダン楽器ではなくあえて古楽器でバッハを演奏する人が増えているようですが彼女もその1人だったというわけです。古楽器の場合音量はそう出ないので響きを楽しんで聴くという感じの演奏でした。おまけにとても心地良く感じました。私は前の方にいましたから音はクリアに聞こえてきましたが、後ろの方ではどうだったのでしょうね。終演後サインをいただきました。今は古楽器の演奏シーズンだと彼女は話していました。

2003年エイジ・オブ・エンライトメント管弦楽団 2003年11月1日(土)エイジ・オブ・エンライトメント管弦楽団
◆横浜みなとみらいホール大ホール
◆プログラム◆
W.A.モーツァルト/ザルツブルグ・シンフォニー第1番ニ長調K.136              (ディヴェルティメントK.136)
W.A.モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第1番変ロ長調K.207
W.A.モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調K.216
            「ストラスブール」
W.A.モーツァルト/交響曲第40番ト短調K.550

ここ最近古楽器に走っているムローヴァが古楽器オケと一緒にモーツァルトの協奏曲を演奏するというので横浜まで行ってきました。お客さんの入りも上々で8割は入っていたと思います。オーケストラは全部で25人くらいとかなり小編成です。それにしてもモーツァルトってトランペットが出てこないんですね。今まであまり気にしていなかったのですが、この日初めて気付きました。1曲目は弦楽四重奏でよく演奏されるディベルティメントでした。古楽器らしいさらっと流した感じの演奏でした。2曲目、休憩を挟んで3曲目でムローヴァが登場し、ヴァイオリン協奏曲第1番、第3番を演奏しました。彼女は溜めて弾くタイプのヴァイオリニストではないので、演奏スタイルが古楽器に合っている気がします。それにしても3番に「ストラスブール」なんて名前があったのですね。知りませんでしたよ。途中よく聴く演奏とは違う部分があったので何版の楽譜を使っているのだろうと思いました。カデンツァももしかして彼女のオリジナルだったりするのでしょうか。(確かCDが出ていましたから聴けばわかるでしょうけど。)それにしてもステージ衣装が奇抜でした。演奏スタイルは古楽器風なのに。そのあたりがいかにもムローヴァらしいと思います。後半は有名な交響曲第40番でした。ホルンが当時のオリジナル楽器を使用していたためか、時々音を外していました。(^_^;)しかし全体の演奏としては水準は高かったように思いました。この日一緒に行った主人は1stヴァイオリンの音量が通奏低音に負けてるからもう少し人数がいた方がいいように感じると言っておりました。ちなみに終演後ムローヴァのサイン会はありませんでした。

サイン