神尾真由子
Sayako Kusaka
      
2001年ロシア・ナショナル管弦楽団 2001年6月2日(土)ロシア・ナショナル管弦楽団
◆指揮 ウラディーミル・スピヴァコフ
◆場所 ザ・シンフォニーホール
◆プログラム
P.I.チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.35
P.I.チャイコフスキー/交響曲第4番ヘ短調Op.36

エフゲニー・スヴェトラーノフさんが急病で来日できなくなったため、ウラディーミル・スピヴァコフさんが指揮をすることになりました。集客率は7割くらいでしたが久しぶりに良いコンサートに巡り合いました。まず、オケの配置が普通とは違っていて、チェロ、コントラバスはヴァイオリンの隣に、パーカッションが本来のコントラバスの位置に配置されていました。しかも雛壇も使用していませんし、やたらと大編成だった気がします。音色は明るめでした。神尾さんの演奏は初めてでしたが、10代とは思えない風格をすでに供えていて将来が楽しみです。表現の点ではまだまだだと感じましたが、テクニックは申し分ありません。後半のチャイコフスキーの4番もロシアらしい良い演奏でした。アンコールにハンガリー舞曲の第5番を演奏しましたがこちらはちょっとイメージが違う気がしました。観客は大喜びでなかなか帰ろうとしませんでした。こういう場に遭遇したのも久しぶりです。終演後サインをいただきました。近くで見た神尾さんはまだあどけない少女でした。

2002年リサイタル 2002年9月3日(火)ヴァイオリンリサイタル
◆ピアノ 渡辺治子
◆場所 ザ・フェニックスホール
◆プログラム
W.A.モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ第34番変ロ長調K.378(317d)
J.ブラームス/ヴァイオリン・ソナタ第3番二短調Op.108
細川俊夫/ヴァーティカル・タイム・スタディV
H.ヴィエニアフスキ/「ファウスト」による華麗なる幻想曲Op.20
M.ラヴェル/ツィガーヌ

前回協奏曲で演奏を聴いて以来久しぶりに真由子さんの演奏を聴きました。全体的に線は太めで思い切りのいい演奏という印象でした。前半のモーツァルト、ブラームスは繊細な表現をもっと磨けばもっといい演奏になるだろうと感じました。後半1曲目の「ヴァーティカル・タイム・スタディV」「ファウストによる華麗なる幻想曲」はなかなか見事な演奏だったと思います。最後のツィガーヌも見事な演奏でしたが前半プログラムで感じたのと同様、細かい表現力を磨いていって欲しいと思いました。彼女の今の演奏は「若くて元気な演奏」という印象が強いですね。元気なあまり時々よけいな弦に触れてしまう音があったりもします。しかしこれからが楽しみな演奏家には違いないと思います。終演後サインをいただきました。並んで写真を撮ってわかったことですがすでに彼女の方が身長が高かったのです。(^_^;)

2008年NHK交響楽団UMEDA演奏会 2007年8月28日(火)NHK交響楽団UMEDA演奏会
◆指揮 ジェームス・ジャッド
◆場所 梅田芸術劇場
◆プログラム
F.メンデルスゾーン/序曲「フィンガルの洞窟」Op.26
P.I.チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.35
L.V.ベートーヴェン/交響曲第7番イ長調Op.92

真由子さんの演奏を聴くのは5年ぶりです。この演奏会の直前にチャイコフスキーコンクールに優勝されたため、曲目がサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番からチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲に変更になりました。チケットは完売していました。(個人的には10月の凱旋コンサートでチャイコフスキーは聴くことが出来るのでサン=サーンスが聴きたかったのですが。)真由子さんはコンクールの時に着ていたピンクのドレスで登場しました。全体的にテンションが高く、ヴァイオリンを思い切り歌わせて演奏していました。歌に例えると演歌のような粘りのある演奏です。表現も豊かで思わず聴き入ってしまいました。1楽章の終了後拍手喝采状態になりました。感動のあまり拍手が起こってしまうのはわかりますが個人的には途中で拍手が起こるのは好きではありません。真由子さんもこれで集中力乱された感じでしたが、すぐに調子を取り戻していました。途中音程が不安定な部分もありましたが大熱演でした。演奏終了後「ブラヴォー!」の声があちらこちらで飛び交いました。こんな状態で後半のベートーヴェン7番はどんな演奏になるのだろうと思っていましたが、素晴らしい熱演で惹き付けられました。こちらも終演後は拍手喝采状態でした。梅田芸術劇場はクラシックを演奏するのにはあまり向いていないホールだと思います。この日1階席の中央あたりに座っていましたが、残響が全くありません。個人的にはシンフォニーホールで聴きたかったですね。

2008年大阪フィル第423回定演 2008年11月19日(水)大阪フィルハーモニー交響楽団
              第423回定期演奏会
◆指揮 大植英次
◆場所 ザ・シンフォニーホール
◆プログラム
L.V.ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.61
J.ブラームス/交響曲第1番ハ短調Op.68

真由子さんの演奏を聴くのは昨年のコンクール優勝後のコンサート以来ほぼ1年ぶりです。大植さんの指揮ということでチケットは完売でした。オケは両翼配置でした。弦はコントラバスは向って左側の奥、手前左側から1stVn、チェロ、ヴィオラ、2ndVnの順の並びでした。自分がアマオケに入ってからというものオケの細かい部分に耳が行くようになりましたが、配置にまで眼が行くようになりました。ベートーヴェンの協奏曲は音階を上手く組合せて書いたような曲で、はっきり言ってヴァイオリンの表現力が乏しいと退屈に感じてしまいます。真由子さんのヴァイオリンは全体的に艶やかで非常に良かったです。カデンツァはクライスラーのものを使用していました。1楽章、3楽章はストレートな演奏で音量もあり、時折音を外す場面もありましたが、時間を忘れさせてくれる演奏でした。2楽章はヴァイオリンをよく歌わせていました。この曲オケも1stVnとその他の弦とが掛合うところがあったりして両翼配置効果のある曲だと思いました。終演後「ヴラヴォー!」の声もあり、鳴り止まない拍手に応えてのアンコールはN.パガニーニの24のカプリースOp.1-13変ロ長調「悪魔の微笑み」で呆気に取られる程完璧な演奏でした。後半はブラームスの交響曲第1番でした。休憩中に少しオケの配置を変えているなぁと思いましたら、コントラバスが雛壇の最後列に1列に並んでいました。今更気付いたのですが、この曲パーカッションはティンパにだけだったのですね。(しかも2対だけ)実に古典的な楽器編成だったのですね。演奏は全体的に遅めで重厚さを出そうとしているように感じました。第4楽章のピツィカートスローテンポで弱音から徐々に音を強くして行くところなどいかにも大植さんらしい演出です。(まあ好みは分かれるでしょうけど私はこういうのは面白いと思うので結構好きです。)それに、ホルンの音が舞台袖で吹いているわけではないのにそう聞えたのは演出だったのでしょうか?金管は時々アインザッツが微妙にずれているところがありましたが、音色は良かったです。終演後神尾さんにサインをいただきました。大植さんにもいただこうかと思いましたが、行列が結構長く、寒かったこともあって今回は断念しました。

2009年兵庫芸術文化センター管第23回定演 2009年2月21日(土)兵庫芸術文化センター管弦楽団
             第23回定期演奏会
◆指揮 アレクサンドル・ドミトリエフ
◆チェロ 山上ジョアン薫
◆場所 兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール
◆プログラム
C.M.ウェーバー/歌劇「オベロン」序曲
J.ブラームス/ヴァイオリン、チェロと管弦楽のための協奏曲イ短調
P.I.チャイコフスキー/交響曲第6番ロ短調Op.74「悲愴」

この日もチケットは完売でした。指揮はアレクサンドル・ドミトリエフさん。以前渡辺玲子さんとの協演で聴いたことがあります。コンサートマスターは豊嶋泰嗣さんでした。1曲目の「オベロン」序曲は確か以前もコンサートで聴いたことがあると思います。演奏内容は可もなく不可もなくという感じでした。2曲目のブラームスの二重協奏曲はCDでは何度も聴いたことがありますが、生演奏を聴くのは初めてです。真由子さんのヴァイオリンは相変わらず情熱的でストレートな演奏で、音量もオケに引けを取っていなかったように思います。チェロの山上さんとの息もぴったりでした。山上さんのの演奏スタイルは情熱的なのですが、チェロの音がオーケストラに消され気味に感じました。ホールが広いこともあるでしょうが、チェロの音域が低いことも原因しているように思いました。この曲は仲たがいしていたヨアヒムと仲直りするきっかけになった曲なのだそうで、クララ・シューマンは「和解の協奏曲」と呼んだとか。いかにもブラームスらしくやや大げさな面も持ち合わせているのですが、個人的にはヴァイオリン協奏曲の方が聴き栄えがするように思います。(でも第3楽章の節回しは好きです。)終演後なかなか拍手が鳴り止まずお2人は何度も舞台に登場していました。後半は大好きなチャイコフスキーの「悲愴」でした。この曲は弦の弱音で始まり、コントラバスの弱音で終わる何だか意味深な曲です。その名のとおり悲愴感を漂わせて欲しい曲です。オケは力演でしたが、弦の音色が明るすぎると思いました。日本のオケにそこまで求めるのは酷なのだとは思いますが、第4楽章はもっと表情を付けて弾いて欲しかったです。あとホルンが突如失敗する場面もありました。。。(^_^;)ドミトリエフさんはロシアの方なので期待していたのですが。終演後楽屋口で真由子さんにサインをいただきました。

2012年南西ドイツ放送交響楽団 2012年2月13日(月)バーデン=バーデン&フライブルク
             南西ドイツ放送交響楽団
◆指揮 フランソワ=グザヴィエ・ロト
◆場所 ザ・シンフォニーホール
◆プログラム
J.シベリウス/ヴァイオリン協奏曲ニ短調Op.47
G.マーラー/交響曲第5番嬰ハ短調

座席は8割程度埋まっていました。招待客が多かったのか演奏中にパンフレットを落としたりする雑音が目立ったのが残念です。さて、神尾さんのシベリウスですが、第1楽章ではオケとかみ合っていないように感じる点がありました。第2楽章はヴァイオリンがよく歌っていて素晴らしかったです。第3楽章は圧巻でした。全体的にオケが安定していないように感じたのは私だけでしょうか?終演後には「ブラヴォー!」の声がありました。鳴り止まない拍手に応えてアンコールにN.パガニーニの24の奇想曲Op.1から第24番を演奏してくださいました。後半のマーラーの5番、出だしのトランペットがやや硬くなっていたように感じましたがその後持ち直して素晴らしい音色でした。第3楽章の直前に携帯電話の音が鳴りました。指揮者のロトさんが客席に振り返る場面がありました。この時ホルンのトップの人が前に出てきて演奏していました。指揮者の演出なのでしょうか?最初は後ろのホルンとかみ合っていないところもありましたがすぐに持ち直しました。第3楽章が終わったところでホルンソロ?を吹いていた方は元の位置へ戻り、有名な第4楽章アダージョが始まりました。演奏は素晴らしかったです。全体的なテンポは私好みでした。この大曲が終演した時は21時を回っていました。「ブラヴォー!」の声がありました。指揮者のロトさんは愛嬌のある方で、客席に向かって大阪弁で「おおきに!」と叫び笑いを誘っていました。「行くでぇ!」と叫び再び笑いを誘って、アンコールはS.S.プロコフィエフの「ロミオとジュリエット」Op.64から騎士たちの踊りでした。マーラーの後にプロコフィエフなんてすごい組み合わせですね。終演後サイン会があったようです。私は神尾さんにサインをいただいて帰りました。