ギドン・クレーメル
Gidon Kremer
      
2007年デュオリサイタル 2007年11月17日(土)デュオリサイタル
◆ピアノ クリスチャン・ツィメルマン
◆場所 兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール
◆プログラム
J.ブラームス/ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調Op.100
J.ブラームス/ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調Op.108
C.フランク/ヴァイオリン・ソナタイ長調

クレーメルさんとツィメルマンさんのデュオリサイタルでした。超一流アーティストの共演ということで全席完売で補助席が出るほどの盛況でした。コンサートを聴く前はタイプが違いすぎるから上手くいくのかしらと思っていましたが、素晴らしい演奏会でした。前半はブラームスのソナタ2番、3番でした。2番ではクレーメルさんのヴァイオリンが鳴りそこなったり、ツィメルマンさんがミスタッチする場面もありましたが、気になるほどのものではありませんでした。クレーメルさんのヴァイオリンの音はかなり控えめな感じで、ツィメルマンさんのピアノも自己主張はしているのですが、ヴァイオリンがメインの部分とピアノがメインの部分を弾き分けておられました。お互いに音を確かめ合いながら演奏している感じです。ホールが広すぎることもあってこじんまりと聞こえてしまうのですが、お2人のコンビネーションも音のバランスも素晴らしいものでした。前半ではブラームスの3番の2楽章が良かったです。(この曲の2楽章大好きなのです。)休憩をはさんで後半はフランクのソナタでした。ツィメルマンさんのピアノはスローテンポで音も溜めながら弾いていました。こんなフランクは初めてだなぁと思いながら聴いていました。ツィメルマンさんのピアノに結構ミスタッチがあったのですが、彼の表現力はそれを気にさせないほど素晴らしいものでした。お2人からは独特のオーラが発せられていてそこには非常に心地よい世界がありました。特に3楽章、4楽章でヴァイオリンが高音で歌う場面では、クレーメルさんの奏でる音があまりに綺麗なので弾きつけられました。クレーメルさんは研ぎ澄まされた音の持ち主という印象が強かったのですが、この日のヴァイオリンの音は非常に柔らかく心地よく感じました。

アンコールは
1.W.A.モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ第39番ハ長調K404(385d)
             第1、第2楽章
2.N.ロータ/映画音楽 La Dolce Vita 〜甘い生活〜

でした。モーツァルトのヴァイオリン・ソナタはピアノがメインでヴァイオリンはオブリガートの役割をしている曲で、ツィメルマンさん大活躍でした。本当にこの人の表現力は素晴らしいなぁと思いました。同じピアノとは思えない音色でした。それにしてもホワイトボードには第1、2楽章と書かれていましたが、私は変奏曲かなぁと思っていました。さらに演奏された曲はN.ロータの「甘い生活」でした。この曲はかの有名なフェリーニの映画の曲なのですが、それをヴァイオリンとピアノで弾くことはそうないのではないかと思います。クレーメルさんはそういう曲を発掘してスポットライトを当てるのが上手い人だと思います。終演後お2人は鳴り止まない拍手に応えて何度も登場しておられました。クレーメルさんに促されて登場するツィメルマンさんは遠慮気味な感じでした。

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