ギドン・クレーメル
Gidon Kremer
      
1993年アジア・ユース・オーケストラ 1993年8月5日(木)アジア・ユース・オーケストラ
◆指揮 エリ・クラス
◆ピアノ/V.サハロフ
◆場所 ザ・シンフォニーホール
◆プログラム
D.D.ショスタコーヴィッチ/祝典序曲Op.96
A.シュニトケ/コンチェルトグロッソ第5番(1990/91)
J.シベリウス/交響曲第2番ニ長調Op.43

鬼才クレーメルさんの生演奏をこの日初めて聴きました。演奏が始まったとたんに息が止まりそうなほど、感動しました。「こんなにヴァイオリンの上手い人が 存在するのか」と。彼のテクニックは左手は無論、右手も本当に素晴らしいと思います。シャープな切れのある音色。現代曲にぴったりです。シュニトケの 曲は初心者には聴きにくいと思いますが、オーケストレーションが面白いですね。アジア・ユース・オーケストラも全体を通して力演だったと思います。

1993年クレメラータ・ムジカ・ロッケンハウス・オン・ツアー 1993年9月17日(金)クレメラータ・ムジカ・ロッケンハウス・オン・ツアー
◆ヴィオラ/ヴェロニカ・ハーゲン
◆ヴィオラ キャサリン・メッツ
◆チェロ/クレメンス・ハーゲン
◆ピアノ/ヴァディム・サハロフ
◆場所 ザ・シンフォニーホール
◆プログラム
A.シェーンベルク/弦楽三重奏曲Op.45
R.シュトラウス/ヴァイオリン・ソナタ変ホ長調Op.18
A.ドヴォルザーク/2つのヴァイオリンとヴィオラのためのミニチュア
G.マーラー/ピアノ四重奏曲(断章)イ短調
A.シュニトケ/ピアノ四重奏曲

曲目が当初と大きく変わりました。奇抜なプログラムの中にR.シュトラウスのソナタのようなスタンダードな曲を交えて演奏していました。相変らずシャープで切れのある クレーメルさんのヴァイオリンと一緒にアンサンブルを組んでいる仲間の息がぴったりで、素晴らしい演奏の連続でした。ドヴォルザークは今回は1台のヴァイオリンと2台のヴィオラで演奏されました。マーラーにピアノ四重奏があったなんて意外でした。そのマーラーとシュニトケをまるで1つの曲のように続けて演奏していました。

1994年デュオリサイタル 1994年10月28日(金)デュオリサイタル
◆ピアノ マルタ・アルゲリッチ
◆場所 ザ・シンフォニーホール
◆プログラム
R.シューマン/ヴァイオリン・ソナタ第2番ニ短調Op.121
A.ドヴォルザーク/4つのロマンティックな小品Op.75
S.S.プロコフィエフ/5つのメロディOp.35bis
S.S.プロコフィエフ/ヴァイオリン・ソナタ第2番ニ長調Op.94a

夢のデュオリサイタルでした。プログラムの順番が変更になりました。シューマンのソナタ第2番はヴァイオリンがあまり鳴っていなくて惜しいなと思いました。次のドヴォルザークは2人の息がぴったりで別世界に飛んで行ってしまいそうな感動が込み上げて来ました。特に4曲目は哀愁たっぷりの感動的な演奏でした。後半のプロコフィエフは現代曲風で、 なかなかの力演でした。ソナタ第2番は特にしっくりくる演奏だと感じました。それにしてもアルゲリッチさんは本当に自由奔放な弾き方をする人ですね。私の座った席がピアノがよく響く側だった上、ピアノの蓋が大きく開いていたので、全体的にややピアノの音量が勝っている演奏に思えました。終演後サイン会がありました。

1998年ピッツバーグ交響楽団 1998年5月24日(日)ピッツバーグ交響楽団
◆指揮 マリス・ヤンソンス
◆場所 ザ・シンフォニーホール
◆プログラム
J.シベリウス/ヴァイオリン協奏曲ニ短調Op.47
G.マーラー/交響曲第5番嬰ハ短調

クレーメルさんのシベリウスということで完璧な演奏を聴けるだろうと非常に楽しみにしていました。相変らず研ぎ澄まされた素晴らしい演奏でした。シャープなボウイングがこの曲独特の寒さを表現しきれていてそこがまた良かったと思います。あの難曲を物ともせずに弾きこなしてしまうんですから本当にすごい人です。 (3楽章なんて目で追っていたら難しいテクニックが山のように出てくるので思わず息を呑んでしまいます。)細部の表現も言うことなしでした。オケも素晴らしかったと思います。特に金管は音色の質が違いますね。ただマーラーはドイツのオケの方が音色的には合っている気はしますが上手いことに違いありません。終演後ヤンソンスさんにサインをいただきました。チラシにあるのがそうです。

1999年クレメラータ・バルチカ 1999年2月15日(月)クレメラータ・バルチカ
◆場所 ザ・シンフォニーホール
◆プログラム
I.F.ストラヴィンスキー/バレエ「ミューズを率いるアポロ」
A.ヴィヴァルディ/協奏曲集「四季」Op.8-1〜4
A.ピアソラ/ブエノスアイレスの四季

クレーメルさんは自分でグループを作って現代曲を演奏するのが好きな人です。最近はピアソラに凝っていて、CDも数枚出ています。今回の演奏会の後半でははバロック音楽のヴィヴァルディの 「四季」とタンゴ風のピアソラの「ブエノスアイレスの四季」を交互に演奏していました。なかなか面白い試みだと思いました。演奏も素晴らしかった と思います。前半のストラヴィンスキーは2人のヴァイオリンのための曲でしたが、クレーメルさんが弾くとやはり現代風になりますね。アンコールで携帯電話を使って、着信音を弦で表現する「返事のない電話」という曲が演奏されました。非常にインパクトが強かったので機会があればまた聴いてみたいです。 もう1曲「ハッピー・バースデイ」をテーマにした曲も演奏されました。こちらも面白かったですね。本当に鬼才と呼ぶにふさわしい人です。

2003年サンクトペテルブルグフィルハーモニー交響楽団 2003年10月13日(土)サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー
              交響楽団
◆指揮 アラン・ブリバエフ
◆場所 愛知県芸術劇場コンサートホール
◆プログラム◆
R.コルサコフ/歌劇「見えざる町キテージと聖女フェブローニャの
          物語」より序曲
J.シベリウス/ヴァイオリン協奏曲ニ短調Op.47
P.I.チャイコフスキー/交響曲第4番ヘ短調Op.36

休日ということもあってわざわさ名古屋まで出かけていったのですが、到着して早々に衝撃が走りました。『テミルカーノフさんが狭心症の疑いのため検査、入院、ドクターストップにより指揮をすることが出来なくなったというのです。』演奏前にジャパンアーツの社長がお詫びの挨拶に登場して、代わりに若干24歳のアラン・ブリバエフさんが指揮をする旨を説明しました。テミルカーノフさんが太鼓判を押す指揮者だけあってオーケストラも結構頑張っていたとは思いましたが、前半の方はちらほらとあらが目立ってしまいました。特にクレーメルさんのシベリウスは楽しみにしていたのですが、いつもの彼らしからぬミスがあったり、音程が部分的に不安定だったり、オケとかみ合っていない部分があったりして少しがっかりしました。いつもはもっと切れのある演奏をして下さるんですけどね。(^_^;)それでも聴衆は満足していたようで、アンコールにはバッハの無伴奏パルティータ第3番から「ガボット」を演奏して下さいました。(こちらも出だしで少しミスってましたが、コントラストが非常にはっきりした斬新なバッハでした。)後半のチャイコフスキーはオーケストラの本領を発揮した良い演奏だったと思います。聞くところによるとこの後の大阪公演ではテミルカーノフさんが指揮されたそうです。(彼の指揮で聴きたかったですよ。本当に残念でした。)