エフゲニー・キーシン
Evgeny Kissin
      
1996年リサイタル 1996年10月25日(木)ピアノリサイタル
◆場所 ザ・シンフォニーホール
◆プログラム
L.V.ベートーヴェン/ロンドト長調Op.51-2
L.V.ベートーヴェン/ロンド・ア・カプリッチョト長調Op.129
F.シューベルト/ピアノ・ソナタ第19番ハ短調D.958
F.ショパン/バラード第1番ト短調Op.23
F.ショパン/バラード第2番ヘ長調Op.38
F.ショパン/バラード第3番変イ長調Op.47
F.ショパン/バラード第4番ヘ短調Op.52

天才キーシンさんのピアノをこの日初めて聴きました。私としては後半のバラードの解釈が印象的でした。出だしから他の人とは違う個性ある弾き方で、途中すごくゆらす弾き方をしてるのにそれでいて乱れないんです。アンコールがホール始まって以来の記録になる13曲というとんでもない曲数でした。私はサインをもらいたくて楽屋口に早めに行ったので3曲しか聴いてません。最後は聴衆は総立ち状態だったそうです。終演は確か10時をまわってたと思います。にもかかわらず疲れた顔もせずに快くサインに応じていました。

2003年リサイタル 2003年11月18日(火)ピアノリサイタル
◆場所 ザ・シンフォニーホール
◆プログラム
F.シューベルト/ピアノ・ソナタ第21番変ロ長調
F.シューベルト/歌曲集「白鳥の歌」D957より第4曲セレナード
F.シューベルト/歌曲集「美しい水車小屋の娘」D795より
           第1曲さすらい
           第2曲どこへ
F.シューベルト/歌曲集「白鳥の歌」D957より第5曲わが宿
F.リスト/「巡礼の年第2年イタリア」より第5曲ペトラルカのソネット
      第104番
F.リスト/メフィスト・ワルツ第1番

久しぶりにキーシンさんの演奏を聴くことが出来ました。シューベルトは1曲目のソナタから彼らしい深みのある音で歌っていました。個人的にはシューベルトは苦手で演奏会ではたいてい寝てしまうのですが、この日は彼の素晴らしい演奏に引き込まれたせいか寝るなんてことはありませんでした。後半のリストが特に圧巻でした。テクニックも完璧でかといってテクニックだけに偏った演奏ではないのです。ただ単に上手いのではなくて演奏の内容が濃いんです。近年大阪のクラシックコンサートは空席が目立つことが多いのですが、この日は満席でしかも1曲目からお客さんが沸きに沸いてすごかったですよ。96年はアンコールを13曲も演奏して観客を沸かせていましたが、この日も観客がそれを期待してかほとんど帰ろうとしないんです。しかも花束を持った女性が次々と前へ行って渡していました。シンフォニーホールでは花束の持込みは禁止されているのですが、この日は特別許されたのでしょうか。会場中はブラヴォー!の声でいっぱいで観客はほとんどスタンディングオベーション状態でした。

アンコール(というよりコンサート第3部)は
1.F.シューベルト/即興曲Op.90-3
2.F.リスト/ウィーンの夜会
3.F.リスト/ハンガリー狂詩曲第6番変ニ長調
4.P.Iチャイコフスキー(E.ワイルド編)/「白鳥の湖」より
                        4羽の小さな白鳥
5.N.パガニーニ(F.リスト編)/狩猟
6.L.ゴドフスキー/古いウィーン

でした。特にリストの「ハンガリー狂詩曲第6番」の後が沸きに沸いていましたよ。アンコールが終っても観客はなかなか帰ろうとしないので彼は何度も舞台に登場していました。しかも終演後サイン会がありました。

2006年リサイタル 2006年4月15日(土)ピアノリサイタル
◆場所 ザ・シンフォニーホール
◆プログラム
L.V.ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第3番ハ長調Op.2-3
L.V.ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第26番変ホ長調Op.81a「告別」
F.ショパン/スケルツォ第1番ロ短調Op.20
F.ショパン/スケルツォ第2番変ロ短調Op.31
F.ショパン/スケルツォ第3番嬰ハ短調Op.39
F.ショパン/スケルツォ第4番ホ長調Op.54

約3年ぶりのリサイタルでしたが今回初めて気付いたのですが、キーシンさんは演奏中に思い切り口で歌って自分の世界に入り込んでいるのです。時々足を踏み鳴らしたりなどしていました。客席はほぼ満席で1曲目から「ブラヴォー!」の声もありました。前半のベートーヴェンは彼らしい個性があって良かったと思います。後半のショパンはキーシンの奥の深い演奏にはピッタリくるように感じました。特にスケルツォの2番はテクニックで言う事がないのはもちろん歌うところはしっかり歌っていましたし、コントラストもはっきりしていて素晴らしかったです。写真撮影をしている人がいたり、演奏中静かな部分でプログラムを落とす音が響いたりするのは少し気になりましたが、前回同様全体的に飽きのこない演奏で聴衆をしっかり引き付けていました。全プログラムが終わっても観客は帰ろうとしません。毎回キーシンはアンコールを何曲でも弾いてくれると期待しているからなのでしょうね。前回のように花束を持った女性が前に押し寄せることはありませんでしたが会場中は「ブラヴォー!」の声でいっぱいでした。

アンコール(というよりコンサート第3部)は
1.K.シマノフスキ/4つの練習曲より第3番変ロ短調Op.4-3
2.F.ショパン/12の練習曲より第4番嬰ハ短調Op.10-4
3.F.リスト/ハンガリー狂詩曲第10番ホ長調「前奏曲」
4J.ブラームス/ワルツ第15番変イ長調Op.39-1
5.F.ショパン/ワルツ第6番変ニ長調Op.64-1「小犬」
6.J.S.バッハ(W.ケンプ編曲?)/フルートソナタ第2番BWV1031より
                   「シチリアーノ」ト短調
7.L.V.ベートーヴェン/12のコントルダンスWoO.14
8.F.ショパン/ワルツ第7番嬰ハ短調Op.64-2
9.L.V.ベートーヴェン/エコセーズ変ホ長調WoO.86

でした。これ以外にもう1曲演奏したそうですよ。特にリストの「ハンガリー狂詩曲第10番」の後が沸きに沸いていました。個人的にはブラームスの「ワルツ」とバッハの「シチリアーノ」が良かったです。私は6曲聴いたところで外に出ましたが観客が帰らずに何曲もアンコールを求めるのでこのあとさらに3曲演奏しましたが。例によって終演時間は22時半をまわっておりました。終演後サイン会がありました。

2009年リサイタル 2009年4月8日(水)ピアノリサイタル
◆場所 ザ・シンフォニーホール
◆プログラム
S.S.プロコフィエフ/バレエ「ロメオとジュリエット」10の小品より
             1.少女ジュリエット
             2.マキューシオ
             3.モンタギュー家とキャピュレット家
S.S.プロコフィエフ/ピアノ・ソナタ第8番変ロ長調Op.84
F.ショパン/ポロネーズ第7番変イ長調Op.61「幻想」
F.ショパン/マズルカOp.30-4、Op.41-4、Op59-1
F.ショパン/12の練習曲Op.10より
        第1番ハ長調
        第2番イ短調
        第3番ホ長調「別れの曲」
         第4番嬰ハ短調
        第12番ハ短調「革命」
F.ショパン/12の練習曲Op.25より
         第5番ホ短調
         第6番嬰ト短調
        第11番イ短調「木枯らし」

3年ぶりのリサイタル。今回は前半がオールプロコフィエフプログラムでした。普通聴きにくいと感じるプロコフィエフの曲ですがキーシンさんのピアノは実に聴き易いと思いました。「ロメオとジュリエット」素晴らしかったです。こんな棘のない聴き易い演奏に接したのは初めてです。ピアノ・ソナタ第8番は「戦争ソナタ」と呼ばれていて私もCDで聴いたことがありますがプロコフィエフ好きの私でも聴きにくいと感じる曲ですが、キーシンの演奏だと聴けると思いました。実際に全く苦痛を感じることなく気がついたら全楽章が終わっていました。終演後は「ブラヴォー!」の声もありました。後半はショパン・イヤーということもあってかオールショパンプログラムでした。キーシンのピアノは繊細で透明感があって良いです。それに加えて技術的にも完璧です。後半では特に練習曲に惹き付けられました。聴衆が第4番や第12番の「革命」のような技巧的な曲の直後に感動のあまり拍手をするのでキーシンはちょっと戸惑っているような感じに見えました。(拍手が静まるのを待って次の曲を演奏していましたから。)個人的には「別れの曲」の表情の付け方が私好みで感動に浸って聴いていました。メイン最後の曲「木枯らし」を弾き終わった後は「ブラヴォー!」の嵐状態でした。

恒例のアンコール(というよりコンサート第3部)は
1.F.ショパン/夜想曲第8番変ニ長調Op.27-2
2.S.S.プロコフィエフ/4つの小品Op.4より悪魔的暗示
3.S.S.プロコフィエフ/歌劇「3つのオレンジへの恋」より行進曲
4.F.ショパン/ワルツ第7番嬰ハ短調Op.64-2
5.F.ショパン/ワルツ第6番変ニ長調Op.64-1「小犬」
6.F.ショパン/マズルカ第40番ヘ短調Op.63-2
7.F.ショパン/ワルツ第14番ホ短調
8.W.A.モーツァルト/ピアノ・ソナタ第11番イ長調K.331より
             第3楽章「トルコ行進曲」

でした。大阪は今回は初日だったからでしょうか、キーシンはアンコールをすぐに次々と弾かずに焦らして何度も挨拶に登場してから演奏していました。大阪のお客さんはしつこいですから簡単には諦めませんよ〜。アンコールが進むにつれてスタンディングオベーション状態になるわ、アンコールを求めて叫ぶ人がいるわ、プレゼントを渡しに前に行く女性はいるわ、とにかく予想通りの展開でした。それにいちいち応えているキーシンさんには本当に頭が下がります。アンコールの中では2曲目の「悪魔的暗示」とワルツ第7番が特に良かったです。「悪魔的暗示」のCDを出して欲しいです。こんな洗練された演奏聴いたことがありません。終演時間は夜22時をまわっておりました。その後さらにサイン会があったようです。(私はこの日は早々に退散しましたが。(^_^;))

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