ヒラリー・ハーン
Hilary Hahn
      
2000年ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 2000年12月3日(日)ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
◆指揮 クラウディオ・アバド
◆場所 ザ・シンフォニーホール
◆プログラム
L.V.ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.61
L.V.ベートーヴェン/交響曲第6番ヘ長調Op.68「田園」

ヒラリー・ハーンさんは以前から生で聴いてみたいと思っていたヴァイオリニストの1人でした。今回ベルリン・フィルと一緒に来ることになり思いがけない形で生演奏を聴くことになりました。人気が高いのでチケットは取合いの状態になりますし、席が選べないので1階の3列目の舞台から向って左から2番目という最悪の席でしたが、演奏内容はそれを補うだけのものはありました。線は細く、非常に美しい音色で演奏する人です。聴いているうちに心地よくなってきました。技術的にも申し分ありません。歓声に答えて、アンコールにバッハの無伴奏ソナタ第1番の一部を演奏してくれました。これがまた奇麗な音色なんです。次回はぜひリサイタルで聴いてみたいです。それにしてもベルリン・フィルって素晴らしいオケです。カラヤン亡き後、オケの音色が明るく、軽くなった気がしますが、金管も木管も弦もこんな音で出せるのかと言いたくなってしまう程上手いです。ティンパニの叩き方1つ取っても『なんてデリカシーのある』と思ってしまうんです。アバドの指揮はすごく大振りで熱がこもっていました。そういえば今回で最後なんですね。演奏中はホール全体が息を呑んで聴いていました。それ程緊張感漂う演奏でした。残念だったのは拍手が早い人がいたこと。ちょっと一呼吸置いて拍手すればいいのに。。。フラッシュをたいた人もいましたね。全部の演奏が終わった後、ベルリン・フィルのメンバーはあっさりと立ち去りましたが、場内がスタンディング・オベーション状態となり、お客さんんが帰らないのでアバドがそれに答えて2回登場しました。場内は「ブラヴォー!」の歓声とフラッシュの嵐となりました。係の人も止めようがないくらいでしたよ。本当に素晴らしい一夜でした。さらに嬉しいことにサイン会がありました。ないだろうと思っていただけに喜びが倍増しました。

2001年リサイタル 2001年12月7日(木) ヴァイオリンリサイタル
◆ピアノ ナタリー・シュー
◆場所 ザ・シンフォニーホール
◆プログラム
J.ブラームス/ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調Op.100
J.S.バッハ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番ト短調BWV.1001
W.A.モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ第33番ヘ長調K.377
C.S.サン=サーンス/ヴァイオリン・ソナタ第1番ニ短調Op.75

昨年ベルリン・フィルと協演したヒラリー・ハーンさんがリサイタルをするということで楽しみにしていました。連日残業が多かったこともあってこの日はあまり体調が良くなかったのですが、頑張って出かけていきました。今回は前回と違って真正面の席だったので彼女の音色がよく鑑賞できました。全体的に線は細めで、音色は綺麗で、テクニックは抜群。そんな印象を受けました。ブラームスのソナタ第22番はイメージ的には男性的なのですが、彼女のブラームスは女性的で繊細で一味違った印象を受けました。バッハの無伴奏ソナタ第1番は日本人奏者がよくする音をできるだけ粘らせて持続して弾くスタイルではなく、ヴァイオリンを自然に歌わせる弾き方のように感じました。一番印象に残ったのはサン・サーンスのヴァイオリンソナタ第1番で、テクニックも完璧でとても集中力のある素晴らしい演奏で思わず聴き入ってしまいました。曲が終った瞬間「ブラヴォー!」の声も飛び出して、立ち上がって拍手している人もいたほどです。終演後サイン会がありましたが、寒いにもかかわらずホールを半周するほどの人が並んでいました。

2005年スマトラ沖大地震チャリティコンサート 2005年2月24日(木) スマトラ沖大地震チャリティコンサート
◆指揮 大植英次
◆管弦楽 大阪フィルハーモニー交響楽団
◆場所 ザ・シンフォニーホール
◆プログラム
R.ワーグナー/楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死
S.S.プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調Op.19
P.I.チャイコフスキー/交響曲第6番ロ短調Op.74「悲愴」

何でもこのコンサートは大植さんが2週間前企画したとのことです。ヒラリー・ハーンさんが参加しての素晴らしい形のコンサートとなりました。お客さんもほぼ満席。1曲目は前菜っぽい演奏で可もなく不可もなくといった演奏でした。2曲目でヒラリー・ハーンさんが登場しました。曲は大好きなプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番でした。演奏前に日本語で述べた彼女の思いに感銘を受けました。演奏は導入から素晴らしく繊細で神経の行き届いた演奏で思わず背筋がゾクッとするほどの感動を覚えました。2楽章、3楽章共集中力を欠くことのない本当に素晴らしい演奏でした。私自身もここまで演奏を聴くことに集中できたのはかなり久しぶりだと思います。音量もオーケストラに負けることがなく、かといって決して力んだ演奏ではないのです。鳴り止まない拍手に応えてアンコールにまず無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番ハ長調BWV.1005を弾いて、その後何と大植さんのピアノ伴奏でデュオの演奏を披露して下さったんですよ。本当に感激しました。(^o^)後半の「悲愴」は大植さんのリードが良くて結構熱演でした。金管の足並みが揃わなかったり、目立つところで失敗しまうのは残念でしたが、終楽章などは悲しい表情が上手く表現できていたと思います。終演後ロビーでサイン会がありました。東京ではリサイタルがあるのですが、可能なら東京まで行きたいくらいですよ。

   
2006年ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団 2006年5月21日(日)ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団
◆指揮 パーヴォ・ヤルヴィ
◆場所 兵庫県立芸術文化センター大ホール
◆管弦楽 ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団
◆プログラム
L.V.ベートーヴェン/序曲「コリオラン」Op.62
L.V.ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.61
L.V.ベートーヴェン/交響曲第3番変ホ長調Op.55「英雄」

当初このコンサートのソリストは諏訪内晶子さんの予定でした。彼女が急病のため、代役に立ったのが何とヒラリー・ハーンさんでした。もともと行くつもりがなかったのですが、急遽チケットを予約して出かけてきました。コンサートが始まる前にホールの支配人が出てきてソリスト交代のお詫びの挨拶をしていました。今回は3階にいましたが、小編成のオケなのでこのホールで演奏するには音量が足りなくて物足りなく感じました。2曲目でヒラリー・ハーンさんの登場です。前回シンフォニーホールで聴いた時はオケとのバランスが絶妙に思えましたが、今回は音量が物足りないように感じました。これは彼女に原因があるのではなくホールが広すぎるからではないかと感じました。恐らく諏訪内さんが弾いても同じように感じたことでしょう。音量の点を除けば代役として舞台に立ったにもかかわらず隅々まで繊細な表現が行き届ており、本当に素晴らしい演奏でした。第1楽章、第3楽章のカデンツァは言うまでもありません。個人的には特に第2楽章が良かったと思います。演奏後「ブラヴォー!」の声もあり、立ち上がっている人もいました。アンコールはJ.S.バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番ニ短調BWV.1004 から「サラバンド」でした。何と休憩時間にもサイン会を行なっていました。彼女のサービス精神の旺盛さにはただただ感心するばかりです。後半の「英雄」もこのオーケストラにはホールが広すぎて音量が物足りなく感じましたが演奏スタイルは今風な感じで良かったです。アンコールはJ.シベリウスの「悲しいワルツ」でした。終演後もサイン会がありました。ホールの係がやたらと写真撮影を止めていましたがちゃっかり撮っている人もいて対応が不公平に感じました。

2008年BBCフィルハーモニック管弦楽団 2008年3月16日(日)BBCフィルハーモニック管弦楽団
◆指揮 ジャナンドレア・ノセダ
◆場所 横浜みなとみらいホール大ホール
◆管弦楽 ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団
◆プログラム
M.I.グリンカ/「ルスランとリュドミラ」序曲
J.シベリウス/ヴァイオリン協奏曲ニ短調Op.47 
I.ストラヴィンスキー/バレエ音楽「妖精の口づけ」より
              ディヴェルティメント
P.I.チャイコフスキー/幻想的序曲「ロメオとジュリエット」

このオケのコンサート大阪でもあったのですが、会場がフェスティバルホールだったのでデッドな響きのシベリウスは聴きたくなかったのであえて横浜まで聴きに行って来ました。BBC放送による録音を行っていたようです。このホールに限りませんが関東のコンサートに行くとよく録音、録画の現場に遭遇します。ノセダさん1曲目の「ルスランとリュドミラ」から熱狂的な指揮でした。2曲目でヒラリー・ハーンさんが登場しました。切れのいいシャープなシベリウスかと思いきや、1楽章の出だしからゆったり歌わせて丁寧に演奏していました。音色はとても心地よく聴いていてうっとりしました。特にカデンツァが良かったです。2楽章もゆったり歌わせて演奏していました。ゆったりしていると間延びしてしまうことが多いのですが、良かったです。3楽章ではそれまでとは一転してスピード間ある演奏でした。時々フラジオレットの音を外していましたが、息切れすることなく演奏は終わりました。オケの音色が明るすぎるのが難点でしたが。演奏後は「ブラヴォー!」の声が飛び交っていました。アンコールはJ.S.バッハの無伴奏ソナタ第3番から「ラルゴ」でした。例によって休憩時間にサイン会を行っていました。大阪以上にすごい行列で後半が始まるので途中で打ち切られました。後半ですが、ストラヴィンスキーの「ディベルティメント」は確かに面白い曲ではあるのですが、メインに持ってくるには物足りないプログラムだったかもしれません。その後に続くチャイコフスキーの「ロミオとジュリエット」も同様です。この曲はフィギュアスケートの高橋大輔選手がフリーの演技で使っていますね。とてもロマンティックな演奏で良かったですが、お客さんののりがもう一つだったように感じました。前半のシベリウスの演奏があまりにもインパクトが強かったこともあったと思います。アンコールはE.H.グリーグの「過ぎにし春」でした。再びCDとプログラムを購入した人にサイン会を行っていましたが、列が半端ではありませんでした。人数が多いとしかたがないのでしょうが、サイン会は流れ作業的にするのはどうかと思います。細かいことを言うようですが、CDのジャケットが黒なのに黒のサインペンを本人に渡すなんてスタッフのセンスがないというか気が利かないというか。。。(-"-)

2009年リサイタル 2009年1月12日(月) ヴァイオリンリサイタル
◆ピアノ ヴァレンティーナ・リシッツァ
◆場所 兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール
◆プログラム
E.A.イザイ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタOp.27より第4番ホ短調
C.アイヴズ/ヴァイオリン・ソナタ第4番
         「キャンプの集いの子供の日」
J.ブラームス/ハンガリー舞曲集 第10番ホ長調、第11番イ短調
                      第12番ニ短調、第19番ロ短調
                      第5番嬰ヘ短調、第20番ホ短調
                      第21番ホ短調
C.アイヴズ/ヴァイオリン・ソナタ第2番
E.A.イザイ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタOp.27より第6番ホ長調
E.A.イザイ/子供の夢
C.アイヴズ/ヴァイオリン・ソナタ第1番
B.バルトーク/ルーマニア民俗舞曲Sz.56
          1.棒踊り
          2.飾り帯の踊り
          3.足踏みの踊り
          4.ブチュムの踊り
          5.ルーマニア風ポルカ
          6.速い踊り

ヒラリー・ハーンさんのリサイタルを聴くのは実に8年ぶりです。プログラムをご覧になっておわかりだと思いますが、非常に玄人好みの曲ばかりでした。それでもチケットは完売でした。ホールが広すぎるのではないかと思いましたが、座っていた場所が良かったのか音のバランスは良かったです。この日2曲演奏したイザイの無伴奏ソナタは非常に完璧な演奏でした。彼女のヴァイオリンは余計な雑音が一切なく、音色も透明感があるので好感が持てます。この日のプログラムに3曲のアイヴズのヴァイオリン・ソナタが含まれていました。ヴァイオリンの曲はかなり色々聴いてきましたが、名前を聞くのも初めてでした。調べてみるとアメリカの作曲家。もともとの本業は保険業で作曲は趣味だったのだそうです。ヴァイオリン・ソナタは全部で4曲あります。曲風は前衛的だといえば前衛的です。(はっきり言ってピアノは思い切り不協和音です。)でもヴァイオリンの奏でるメロディはどことなく懐民族音楽的なところがあるように感じました。ブラームスのハンガリー舞曲集もイザイ同様クリアで完璧な演奏でした。彼女のブラームスは途中変に間を取ったりすることのないストレートな演奏でした。最後の曲、バルトークのルーマニア民族舞曲も完璧な演奏で、圧倒されました。特に6曲目の「速い踊り」が素晴らしかったです。(ミスが全くないんですよ。)

鳴り止まない拍手に応えてアンコールは
1.N.パガニーニ/カンタービレニ長調Op.17
2.J.ブラームス/ハンガリー舞曲第5番嬰ヘ短調    

でした。イザイの「子供の夢」を除いて急がしい曲がメインだったこともあって。アンコールも「カンタービレ」が良かったです。ヴァイオリンの歌い方が綺麗です。終演後サイン会がありました。本当は銀色のペンでサインをしていただきたかったのですが、(恐らくジャパン・アーツのマネージャー)から「サインは黒いサインペンでしかしません。裏でいいですか?」と言われ(サインする場所を勝手に決めないで欲しいです!それから言い方ももう少し考えていただきたいです。)写真のようにサインしていただきました。ホールを半周するくらい人が並んでいましたから効率よくサイン会をするためには仕方がないのでしょうが、まるで流れ作業のようでした。