樫本大進
Daishin Kashimoto
      
1999年リサイタル 1999年3月18日(木)ヴァイオリンリサイタル
◆ピアノ イタマール・ゴラン
◆場所 ザ・シンフォニーホール
◆プログラム
L.V.ベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタ第5番へ長調Op.24「春」
S.S.プロコフィエフ/ヴァイオリン・ソナタ第2番ニ長調Op.94
武満徹/悲歌
C.フランク/ヴァイオリン・ソナタ

彼の演奏は一言で言えば、音色が柔らかく、美音です。スプリングの出だしからふわっとしたオーラに漂い吸い込まれそうになりました。大好きなプロコフィエフも柔らかい音色で、シャープではありませんでした。こんなに聴きやすいプロコフィエフはムター以来です。武満の悲歌は不協和音のはずなのに彼の美音のせいで、聴きやすかったのでとても気に入ってしまいました。最後のフランクも五嶋みどりさんの時とはまた違った感動を覚えました。一般的に日本人は生真面目な演奏をする人が多いのですが、彼の場合もちろんアラはありますが、とにかく聴きやすくて、自由に弾いているのには好感が持てました。サイン会で一緒に写真も撮れたんです。シンフォニーホールは割と並んでとれないんですけど運が良かったんですね。

2000年ロン=ティボー国際音楽コンクールガラ・コンサート 2000年2月4日(金)ロン=ティボー国際音楽コンクール
            ガラ・コンサート
◆場所 ザ・シンフォニーホール
◆プログラム
第1部『メニューイン追悼』
J.S.バッハ/無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番ニ短調
        BWV.1004

すっかり人気者になった樫本さんの無伴奏パルティータ、若いのに結構良かったと思います。最初に肩当を落としても全然平気な顔をしていまし た。メニューインを思う気持ちが伝わってくる演奏でした。もちろん粗っぽい面がないとは言いきれませんが。重音をぴたっと決めてあの美音を生かした弾き方を究めていけばもっと良いものになると思います。終演後照明を落とす演出もよかったと思います。サイン会には若い女性が山のように並んでいました。私もサインをいただいて、写真も一緒に撮りました。

2001年モスクワソロイスツ合奏団 2001年2月25日(金)モスクワソロイスツ合奏団
◆指揮・ヴィオラ ユーリー・バシュメット
◆場所 ザ・シンフォニーホール
◆プログラム
P.I.チャイコフスキー/弦楽六重奏曲ニ短調Op.70
              「フィレンツェの思い出」
武満徹/ノスタルジア
W.A.モーツァルト/協奏交響曲変ホ長調 K.364

前半、バシュメットは指揮のみで登場しました。1曲目のチャイコフスキー弦楽六重奏曲はモスクワソロイスのみの演奏でした。アンサンブルが綺麗で一糸乱れぬという感じの演奏でした。2曲目から樫本さんの登場です。武満の曲はどことなく哀愁を帯びた曲です。相変わらずの美音の樫本さんのヴァイオリンはぴったりはまった感じでした。後半、バシュメットはヴィオラを持って登場し、モーツァルトの有名な協奏交響曲を樫本さんと共に演奏しました。バシュメットの古典的な音色と樫本さんの美音がぴったりはまってとても良かったと思います。この日は雪がちらついたりしてとても寒かったのですが、終演後のサイン会はホールを半周するほど並んでいました。

2001年ベルリン交響楽団 2001年11月11日(日)ベルリン交響楽団
◆指揮 エリアフ・インバル
◆場所 ザ・シンフォニーホール
◆プログラム
W.A.モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調K.219「トルコ風」
G.マーラー/交響曲第1番ニ長調「巨人」

モーツァルトの協奏曲第5番を生で聴くのは久しぶりだったので楽しみにしていました。樫本さんのヴァイオリンは繊細でとてもモーツァルトらしい演奏だったと思います。カデンツァも表情豊かに思えました。ただ全体的に音量を抑え気味に演奏していたためなのか、オケが勝ち気味で時折ソロが聞こえない部分が目立ったのが残念でした。後半の「巨人」は、時折木管の音の出だしに不満が残る部分はありましたが、インバルの本領が発揮された良い演奏だったと思います。オケの音色はドイツらしい厚みのある音でマーラーにはぴったりだなあと感じました。マーラーって生で聴くといろんな発見がありますね。指揮者によっても表現がはっきりしていますし。終演の瞬間は「ブラヴォー!」の嵐状態になりました。アンコールはブラームスの交響曲第1番の第4楽章でした。終演後サイン会がありました。インバルは握手をなさらない方だそうです。係の人が「握手は求めないで下さい。」と言って回っていたのが印象的でした。樫本さんは相変わらず茶目っ気たっぷりな人でした。

2002年リサイタル 2002年3月30日(土)ヴァイオリンリサイタル
◆ピアノ イタマール・ゴラン
◆場所 ザ・シンフォニーホール
◆プログラム
W.A.モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ 第36番変ホ長調K.380(374f)
S.S.プロコフィエフ/ヴァイオリン・ソナタ第1番ヘ短調Op.80
F.プーランク/ヴァイオリン・ソナタ(1943)
P.サラサーテ/ツィゴイネルワイゼンOp.20

土曜日で開演時間が早かったためか、2階席の空席が少し目立ちました。樫本さんのリサイタルは3年ぶりでしたが、以前に比べ曲によって表現を変えるのが上手くなったと感じました。1曲めのモーツァルトは滑らかに音も細めに、2曲目のプロコフィエフはやや太い音でおどろおどろしさを上手く表現して演奏していました。後半のプーランクは前衛音楽的な面が多いのですが、彼の演奏スタイルが美音で聴かせるスタイルのためかそれを感じさせない曲として仕上がっていました。最後のチゴイネルワイゼンは彼らしい自由な演奏で良かったと思います。全体的に途中で細かいミスはありましたが、トータル的には良かったと感じました。アンコールはクライスラーの「美しきロスマリン」「愛の喜び」を演奏し、なかなか帰ろうとしない聴衆に応えて「愛の悲しみ」を演奏して下さいました。(^○^)終演後サイン会がありました。

2002年フランクフルト放送交響楽団 2002年11月3日(日)フランクフルト放送交響楽団
◆指揮 ヒュー・ウォルフ
◆場所 フェスティバルホール
◆プログラム
L.V.ベートーヴェン/「レオノーレ」序曲第3番Op.72b
M.ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調Op.26
L.V.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op.67「運命」

日曜日にもかかわらず2階席は空席がかなり目立ちました。不景気だからなのか最近の演奏会では空席が目立つことも多いです。1曲目の「レオノーレ」は途中トランペットソロを影で演奏する場面なんかがあって結構面白みのある曲でした。2曲目のブルッフで樫本さんの登場です。彼の演奏は音色が滑らかで実に心地良い演奏だったと思います。綺麗な美音で情緒豊かに演奏していました。(強弱なんかもはっきりしていました。)あまりに心地良くて2楽章から睡魔が襲ってくるほどでした。(^_^;)オケの方は時々足並みが乱れることもあったりしましたが好サポートだったと思います。演奏直後「ブラヴォー!」の声も飛び交っていました。拍手が鳴り止まないので何度も舞台に登場していました。後半の「運命」は演奏は結構良かったのですが、曲がスタンダードすぎてやや退屈しました。アンコールはワーグナーとプロコフィエフを1曲ずつで指揮者のヒュー・ウォルフさんが片言の日本語で紹介されているのには好印象を受けました。終演後樫本さんにはサインをいただきました。黒のマジックにしたのは失敗でした。(見え難くなってしまいました。(^_^;))